内 容
スコットランド啓蒙を代表する思想家であり「常識哲学」を建設したとされるトマス・リード。本書は、哲学者リードと、新しい幾何学を発見した科学者にして、ラディカルなユートピア論を構想した社会思想家リードの結びつきを問い、リードの知的体系の総体を明るみに出すとともに、その不完全性が内包する現代的意義を抉出した新しい解釈/批判の試み。
目 次
はじめに
第Ⅰ部 「トマス・リード」を読む
第1章 「忘れられた哲学者」
1 ヒュームの批判者
2 「哲学者リード」の形成
3 「スコットランド哲学」の形成と拡散
4 カントのリード批判
5 「反動の哲学」
第2章 哲学的リアリズム、表象、失われた世界
1 「自然の鏡」の批判者
2 歴史的リード
3 18世紀知識人としてのリード
第3章 リヴィジョニズムを超えて
1 解釈者としての哲学者と歴史家
2 不可逆過程の科学としての歴史
3 「物-語り」としての歴史
第Ⅱ部 平行線が交わるところで
第4章 科学する哲学者
1 「真のニュートン主義」
2 「ニュートンの方法」による哲学
3 薔薇十字と平面人
第5章 道徳哲学と経験主義のユートピア
——「貧しき者は奴隷と化し、あたかも重荷を背負う獣のように」
1 道徳世界の探究
2 哲学的リアリズムと道徳哲学
3 政治的想像力と実験
第6章 未完成な機械の中のゴースト
——「コモン・センス」と「神」という名辞をめぐって
1 「常識哲学」という言説
2 哲学という、不完全なシステム
付 録 リードのテクストから
A 可視的形象の幾何学
B ユートピアの体系についての考察
あとがき
註
人名索引