生態学・進化生物学を一新 ——『繁殖干渉』
生態学・進化生物学を一新!
——『繁殖干渉』
動植物を問わず、オスが間違って近縁な他種のメスに配偶(求愛や送粉)を行い、そのメスに対して何らかの不利益を及ぼす現象 —— この「繁殖干渉」は、自然界で頻繁に起こっていること自体は以前からよく知られていましたが、取るに足らないことと思われ、研究対象として注目されることはほとんどありませんでした。生態学的・進化学的に重要な意味を持つなどと考えられることはなかったのです。
しかし、そのような考えは、1990年前後の理論研究や、21世紀になって積み重ねられた実証研究によって覆されていきます。それらの研究は、繁殖干渉が生物界に広くあまねく存在し、さまざまな生態・進化を作り出していることを示しました。そして、この「繁殖干渉」という枠組みを使うと、すみ分けや資源分割など、生態学・進化生物学における数多くの難問を、統一的に説明できるのです。それはすなわち、これらの分野の教科書を随所で書き換える(!)ことにつながってきます。
このように、「繁殖干渉」には生態学的・進化学的にみて大きな意義があるにもかかわらず、その理論や実証例、さらには研究法にいたる全容を概観することのできる書籍は、洋の東西を問わず存在しなかったのです。本書では、シンプルでありながら、普遍的かつ強力なメカニズムであるこの「繁殖干渉」の全容を、タンポポやマメゾウムシなどの実証例を示しながら、初めて体系的に紹介していきます。本書を読み終えた後には、進化、そして身近な自然の見方がきっと変わることでしょう。
また、本書刊行を記念し、ミニフェア「生態学・進化生物学を一新せよ!」を全国の書店・大学生協で開催する予定です。執筆いただいた著者の先生方が、本書の理解の助けとなる図書、その他推薦図書をセレクト、コンパクトながらも充実したラインアップでお届けします。
高倉耕一・西田隆義 編
価格 5,400円
A5判・上製・380頁
ISBN978-4-8158-0925-6 C3045
在庫有り