内 容
医療面接の基本知識と、医療面接の実習の場で患者役を演じる“模擬患者”になるための方法や具体的な実習の進め方を、第一線の執筆陣が最新の情報を盛り込みながら、やさしく解説する。医学・歯学・薬学・助産・看護分野のシナリオ集も掲載した、今日から練習に使える一冊!
執筆者一覧
(執筆順、*は編者、所属は刊行当時のものです)
伴 信太郎 名古屋大学医学部附属病院総合診療科 (はじめに)
*鈴木 富雄 名古屋大学医学部附属病院総合診療科 (この本のねらい・第2章)
青松 棟吉 名古屋大学大学院医学系研究科地域医療教育学講座 (第1章)
西城 卓也 名古屋大学医学部附属病院総合診療科 (第3章)
*阿部 恵子 名古屋大学大学院医学系研究科地域医療教育学講座 (第4~7章)
桑畠 愛 名古屋大学医学部附属病院総合診療科 (第7章)
◎シナリオ集作成
鈴木富雄/阿部恵子/青松棟吉/西城卓也/
田口 智樹 (名古屋大学医学部附属病院総合診療科)/
若林 英樹 (岐阜大学医学部医学教育開発研究センター)/
岩倉加代子 (名古屋SP研究会) / 小川尚子 (名古屋SP研究会) /
墨 憲子 (名古屋SP研究会)
◎付録作成
阿部恵子/岩倉加代子/小川尚子/墨 憲子
本書の特徴
「医療面接の学習の手引書」として、「模擬患者(SP)養成の手引書」としても使える、日本で初めての本格的テキスト!!
・医療面接、医学教育、SP養成に関わる最新の知見と具体的な実践方法が、教育現場での経験豊かな執筆者たちにより、初学者にもわかりやすく書かれています。
・「シナリオ集」が大変充実しており、明日からの医療面接実習にすぐに役立つ形になっています。
・執筆者たちがSP養成や医療面接実習の際に実際に使用し、多くのノウハウが詰まった大変貴重な資料を、「付録」として掲載しています。
・“OSCE”(客観的臨床能力試験)にも対応。試験官・受験生の双方に有用な、OSCEのいろはを丁寧に解説します。
本書は、こんな方たちにおすすめです:
「医療面接の学習の手引書」として
・医学生、歯学生、看護学生、薬学生などの医療系大学の学生
・医科・歯科の研修医、卒後年数が数年までの看護師・薬剤師など、現場での実践経験がそれほど豊富でない医療の方
・大学教員や医療現場で教育業務を担う指導的立場の方
「SP養成の手引書」として
・医療面接の教育に関わっているSPの方
・今後SPになりたいと考えていたり、SPの仕事に興味を持っている方
・医療者と患者間のコミュニケーションに関心のある方
・SP養成に関わっている大学教員や病院の教育担当の方
「シナリオ集」について
本書ではシナリオをより有効に活用できるよう、いくつかの工夫がなされています:
・学習者の学習の段階によって難易度を細かく分けています(初級・中級・上級・Advanced OSCE)。
・医療面接のみならず、Advanced OSCEにて評価されるような鑑別を踏まえた身体診察や患者への説明、家族面談の場面にまで、シナリオの課題を広げています。
・歯科医、薬剤師、看護師、助産師を目指す学習者にも広く利用できるような内容にしてあります。
専門にトレーニングされたSPがその場にいなくても、学生同士でシナリオを使用して、医療面接の自己学習を行うことも可能です。また、授業や実習では、本文を飛ばしてシナリオの部分だけを利用することもできます。
目 次
はじめに
この本のねらい
第Ⅰ部 医療面接を学ぶ
第1章 医療面接とは?
1 医療面接の役割
2 医療面接は学べるの?
3 医療面接の流れ
4 医療面接がうまくいかないとき
5 「悪い知らせ」を伝える
第2章 成人学習理論とシミュレーション教育
1 成人学習理論とは?
2 成人学習理論の実際
3 成人学習理論を用いてどのように学べばよいか?
4 シミュレーション教育とは?
5 シミュレーション教育の特徴
6 シミュレーション教育時に注意すべきポイント
7 さまざまなシミュレーション教育の紹介
第3章 医療面接の評価
—— 客観的臨床能力試験(OSCE)
1 評価の “いろは”
2 OSCE
第Ⅱ部 模擬患者のてびき
第4章 模擬患者とは?
1 医療面接教育とSP誕生の背景
2 SPの歴史
3 SPについて
第5章 模擬患者になるには?
1 リクルート
2 一般模擬患者のトレーニング
3 難しいシナリオのトレーニング
4 デビュー
5 振り返り
6 継続トレーニング
7 マネジメント
8 トレーニングプログラム
第6章 標準模擬患者のトレーニング
1 OSCE用標準模擬患者のトレーニング
2 Advanced OSCE用標準模擬患者のトレーニング
—— 身体診察のあるシナリオ用
3 振り返り
第7章 医療面接実習を始める
1 準備
2 実習
3 スタッフの振り返り
シナリオ集
付録1 SPフィードバックチェックリスト
付録2 フードバック用語集
付録3 フィードバック例文集
付録4 SPの質のコントロール評価表
付録5 タイムライン・ワークシート
付録6 ライフスタイル・ワークシート
付録7 模擬患者さんのための用語集
付録8 参考文献
書 評
『医学教育』(第42巻・第3号 2011年6月、評者:山岡章浩氏)