内 容
等閑視されたライプニッツ単子論の美学的側面を、原子論・粒子論・単子論という思考過程の展開や情念論・心身二元論の再評価・再検討を介して読み解き、西田の行為的直観、アランの散文の美などを手がかりに単子論的思考が美的なものとしてあらわれてくる地平を大胆かつ精緻に切り拓く。
目 次
序
第Ⅰ部 ライプニッツの美学へ
第1章 多元論の系譜
1 力としての実体の多数性への道
2 原子論・粒子論・単子論
3 粒子論の改変と延長概念の批判
4 幾何学化と運動の理解
5 形象的思惟の位置づけ
6 3つの「点」
第2章 単子論と情念論
1 理由の探求とモナドロジー
2 表象概念の情念論的基礎
3 自我との類比と力の把握
4 実体的紐帯と力
5 美への通路としての質
第3章 芸術美・自然美・人格美
1 自然美とモナドロジー
2 美的認識の成立要件としての自由
3 人格美という出発点からの美学
4 美的対象の持つ力
第4章 現代的な或る視点からの検討
1 現象学批判とライプニッツ批判
2 構造主義的な文体と規範
3 意志と創造性
第Ⅱ部 西田幾多郎の創造的モナドロジー
第Ⅱ部の展望
第1章 純粋経験と意識の哲学
1 『善の研究』における「意識」という出発点
2 独我論をめぐる諸問題
第2章 東西の論理と心身問題
1 心身問題としての西田哲学読解の試み
2 西洋の論理と日本の論理
3 純粋経験の論理化と自覚の論理
第3章 場所の論理と弁証法
1 場 所
2 弁証法の再検討
第4章 実体批判の深まりと個体論
1 生滅する個体
2 ライプニッツのモナドロジーへの言及
3 絶対否定と絶対無
第5章 行為的直観から芸術論へ
1 行為的直観
2 創造的モナドロジーの美学
3 個体と歴史
4 表現の方向と行為の方向
5 イデアの問題
第6章 二元論の問題
1 西洋的二元論の積極的側面
2 二元論の否定的側面
3 空に基づく二元論へ
第7章 創造性と文体論
1 場所の論理と創造性に関わる一つの現代的アプローチ
2 西田の文体から散文の美の問題へ
第Ⅲ部 アランの美的モナドロジー
第Ⅲ部の展望
第1章 単純性の問題
1 言語における単純性
2 質的総合
3 音楽と散文
4 文体・社会・言語
5 デカルトの延長概念の意味するもの
第2章 虚構の位置づけ
1 虚構と美
2 「語の魔術」からの解放に向けて
3 叙事詩的な動き
4 認識における選択の必要
第3章 事物と言語
1 事物にまとわりつくもの
2 規範と責務
3 理論の支配の不健全さ
4 受肉を介して心身合一へ
5 知っている以上のことを表現するために
6 普通語について
第4章 体系というもの
1 思想の形成と体系
2 世界の表出と情念論
3 普通語・モナド・予定調和
4 思想の歩み返しと予定調和
5 目的原因の両義性
第5章 美の伝達
1 芸術の成立と伝達
2 伝達言語
3 投げ与えられる記号を超えて
あとがき
注
索 引
書 評
日本経済新聞書評