内 容
アメリカの哲学者であり教育学者であるデューイの人間形成理論を「探究」という理念を中心に考察した。教育はたえざる「相互成長」をめざすという前提のもと、近年話題となっている「習慣・コミュニケーション行為・反省的教授」等の諸テーマにそって考察・理論展開する。
目 次
まえがき
第1章 探究をつうじての教育
—— 社会的探究・生涯学習・相互成長
1 デューイの教育理論と社会的探究理論の関連
2 一対一の人間関係と協働探究者の成長
3 学習社会における協働探究者の課題 —— 相互成長
第2章 探究経験の地平
—— 状況・習慣・コミュニケーション
1 自然主義的形而上学 —— 経験概念の再構築
2 「状況」をめぐるデューイとシュッツの見解
3 「習慣」概念の現象学的意義
4 習慣・共感・コミュニケーション
5 「一対一の人間関係」
第3章 探究の存在論的・論理学的考察
—— 意味拡充のオルガノンとしての探究
1 探究による現実存在の存在論的・論理学的究明
2 探究の論理学的構造
3 探究の存在論的・論理学的検討が示唆するもの
4 リベラル教育の本質としての探究
第4章 探究の言語行為的・間主観的考察
—— 探究共同体とコミュニケーション行為
1 「言語論的転回」以後の探究論 —— ローティとハバーマス
2 デューイの社会的探究 ——「コミュニカティヴな探究」
3 ポスト・モダンの成長観をめざして
第5章 想像的探究の射程
—— 脈絡主義・美的経験・宗教的経験
1 自然主義的形而上学と脈絡主義
2 経験の美的質と想像力
3 「経験」の宗教学
第6章 教師・生徒間における協働探究
—— 相互反省的思考の展開としての反省的教授
1 デューイの探究教育とその継承者
2 行動的反省理論の構造
3 相互反省的思考としての反省的教授 —— 反省的実践家の課題
第7章 批判的探究の継承
—— 対話と協働に関するデューイとフレイレの見解をめぐって
1 協働的知性がめざす民主主義的理想 —— 協働的友愛
2 フレイレの反省的意識化による教育 —— 変革的リテラシー
結 語 —— 対話的協働をつうじての解放
索 引