『財政規律とマクロ経済』細目次

『財政規律とマクロ経済』細目次

序 章
 1 財政規律棚上げという厄介な事態
 2 予知・予言に関する財政規律棚上げ派と財政規律重視派の対立
 3 財政規律をめぐるマクロ経済学
 4 政策提言のジレンマ
 5 危機対応マニュアルの必要性
 6 戦中・敗戦直後を振り返って
 7 物価高と金利高のグローバルな環境に直面する日本政府の「借りっぱなし」
 8 本書のスタイル

第1章 1990年代以降の日本の財政金融政策
 1 日本経済の景気循環
 2 政府債務の動向
   2.1 膨張する政府債務
   2.2 負の財政余剰(基礎的財政収支)の継続
   2.3 マクロ経済学的にとても不思議な現象
 3 物価の動向
   3.1 財政規律の棚上げのもとでの物価の低位安定
   3.2 貨幣数量関係からの乖離 —— 貨幣市場の需給から見た物価水準
   3.3 物価水準の財政理論(FTPL)からの乖離
       —— 国債市場の需給から見た物価水準
 4 金利の動向
   4.1 短期金利と長期金利の定義
   4.2 ゼロ近傍の翌日物コールレート
   4.3 長短金利スプレッドの動向
   4.4 超低金利政策の背後にあるもの
       —— 予想インフレ率と自然利子率の低下
 5 政府債務をめぐる政府、日銀、銀行、家計とのやり取り
   5.1 金融市場調節の仕組み
   5.2 政府と日銀の間で —— 満期長期国債の「事実上の借換」について
   5.3 日銀と国内銀行の間で
       —— 日銀の長期資産化と国内銀行の短期資産化のコントラスト
   5.4 国内銀行と家計・企業の間で
       —— 家計貯蓄が支える長期国債の大量発行
 6 日本経済の超過供給・過少需要の下での積極的な財政金融政策
   6.1 若干の理論的な整理 —— 国債・貨幣市場と財・労働市場の関係
   6.2 1990年代以降の景気回復の弱さ
   6.3 国債・貨幣市場の供給拡大と景気停滞の「相性の良さ」
   6.4 本書の目的

第2章 マクロ経済学から見た財政規律
 1 モダンなマクロ経済モデルにおいて忘れ去られたこと(その1)
   1.1 ワルラス法則再訪 —— 予算制約と市場の需給
   1.2 逆転したワルラス法則
 2 モダンなマクロ経済モデルにおいて忘れ去られたこと(その2)
   2.1 貨幣需要と金利
   2.2 3つの物価経路
 3 不均衡分析からの視点
    —— 財・労働市場の過少需要と国債・貨幣市場の超過需要
   3.1 市場の不均衡はどのように需給調整されてきたのか
   3.2 家計と企業(非金融法人企業)の実物支出と金融支出の配分
 4 財政規律を棚上げにしたマクロ経済をモデル化する試み
    —— 政府の「借りっぱなし」と家計の「貸しっぱなし」
   4.1 統合政府の予算制約と家計の予算制約
       —— 逆転したワルラス法則からの視点
   4.2 統合政府の「借りっぱなし」、家計の「貸しっぱなし」の証左
   4.3 広義の貨幣需要関数から見た「これまで」と「これから」の日本経済
   4.4 より頑健なエビデンス、より説得的なマクロ経済モデルを求めて

第3章 戦中・敗戦直後の財政金融政策
      —— 国債と貨幣への旺盛な需要が突然消滅した経験

 1 なぜ、戦中・敗戦直後なのか
   1.1 第2次世界大戦期における3つの国債・貨幣の受け皿
   1.2 敗戦と同時に消滅した3つの国債・貨幣の受け皿
   1.3 戦中・敗戦直後の状況と現在の状況に関する対称性
   1.4 独立の論考としての2節と3節
 2 戦中における闇市場からの旺盛な貨幣需要
    —— 経済統制期の国民所得統計の謎をめぐって
   2.1 はじめに
   2.2 日本の経済統制小史 —— 1937年から1949年
   2.3 日銀券の流通と闇市場のマクロ経済学的な関係に関する概観
   2.4 国民所得統計上の統計的不突合と貨幣市場のマーシャルの k
   2.5 おわりに
 3 太平洋戦争期における占領地の発券銀行・中央銀行による錬金術
   3.1 はじめに
   3.2 占領地における発券銀行・中央銀行の貨幣オペレーション
   3.3 現地日本軍への資金移転の名目額と購買力平価換算額
   3.4 被占領国から見た現地日本軍への資金移転
   3.5 おわりに

第4章 財政規律棚上げレジームから財政規律遵守レジームへ
 1 本章の問題意識
   1.1 財政規律棚上げの「付け」の大きさ
   1.2 なぜ、財政規律が早晩回復せざるをえないと考えるのか?
   1.3 なぜ、一国の貯蓄を食い尽くしてしまうような強烈な外的ショックを想定する
      のか?
   1.4 貯蓄を食い潰してしまうショックとしての首都直下地震
   1.5 なぜ、できるだけ早く財政規律を回復しなければならないと考えるのか?
 2 理論モデルによって説明すべき「これまで」と予測すべき「これから」
   2.1 未曽有の事態を予測するとは?
   2.2 理論モデルによって説明すべき・・・・・「これまで」
   2.3 理論モデルに基づいて予測すべき・・・・・「これから」
 3 理論モデルの構造
   3.1 2つの政策レジーム
   3.2 理論モデルにおけるさらなる単純化
   3.3 財政規律棚上げレジームにおける新たな政策命題
   3.4 理論モデルで金利と物価の動向を説明できる範囲
 4 理論モデルによって説明する「これまで」と予測する「これから」
   4.1 理論モデルによって描かれる「これまで」の日本経済
   4.2 首都直下地震を契機とした物価高騰と財政規律の回復
 5 本章をどのように咀嚼すべきなのか
    —— ハイパーインフレを未然に防ぐために
   5.1 第4章の議論のまとめ
   5.2 第4章の理論モデルで捨象してきた大切なこと

第5章 政府の「借りっぱなし」と家計の「貸しっぱなし」の解消
      —— 私たちの新しい出発点とするために

 1 海外から見た政府の「借りっぱなし」と家計の「貸しっぱなし」
   1.1 海外から見た日本国内の物価と金利
   1.2 海外から見た日本経済のバランスシート
 2 2020年代の海外情勢と日本経済 —— 海外物価を基準とした強烈なデフレ圧力
   2.1 最近の物価動向のインフレ的な側面とデフレ的な側面
   2.2 米日金利差と円/ドルレート
       —— 物価面の内外格差と金利面の内外格差をつなげるリンク
   2.3 財政規律遵守レジームへのスイッチの契機となるのだろうか?
 3 財政規律棚上げレジームから財政規律遵守レジームへスイッチした場合のインパクト
   3.1 国債・貨幣以外の金融資産、実物資産、対外資産を加えた日本経済のバランス
      シート
   3.2 レジーム・スイッチで起こり得ること
 4 日本経済の再出発のために
   4.1 本書のまとめ
   4.2 本書の考察から見えてくること


補論A 財・労働市場の過少需要と国債・貨幣市場の超過需要の関係について
 A.1 統合政府、家計、企業の予算制約
 A.2 財市場、労働市場、国債市場、貨幣市場の需給
 A.3 財・労働市場の過少需要と国債・貨幣市場の超過需要の事後的な調整

補論B 統合政府の生涯予算制約と家計の生涯予算制約の関係
 B.1 統合政府の生涯予算制約
 B.2 家計の生涯予算制約
 B.3 統合政府の「借りっぱなし」と家計の「貸しっぱなし」
 B.4 貨幣数量説とハイパーインフレにおける統合政府の「借りっぱなし」の可能性
 B.5 マイルドなデフレにおける統合政府の「借りっぱなし」と家計の「貸しっぱなし」

補論C 実物資産が存在する場合の統合政府と家計の生涯予算制約

補論D 1945年の名目GNEの推計

補論E 公定価格と闇価格が併存する場合の国民所得統計
 E.1 国民総支出と国民総所得の間の統計的不突合が意味するもの
 E.2 公定価格と闇価格が併存する場合に生じる統計的不突合
 E.3 GNEデフレーター、GNIデフレーター、そして公定価格
 E.4 闇市場からの貨幣需要とマーシャルの k

補論F 財政規律棚上げレジームから財政規律遵守レジームへのスイッチを考慮した貨幣
    経済モデル
 F.1 理論モデルを解いていく手順
 F.2 交換経済を想定した簡易な貨幣経済モデル

補論G フィッシャー方程式の一般化

補論H シミュレーションの前提

補論I GDP デフレーターと国内物価との関係

補論J 長期金利の平価関係、実質金利の平価関係
 J.1 名目為替レートの金利平価関係
 J.2 実質為替レートの金利平価関係
 J.3 実質金利としての物価連動国債利回り

補論K 通貨・為替スワップの仕組み
 K.1 ドル調達プレミアムの尺度としての通貨スワップ・ベーシス
 K.2 金融危機時における米ドル調達プレミアム
 K.3 旺盛なヘッジ需要から生じる米ドル調達プレミアム

 参考文献
 あとがき
 索 引


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