内 容
メンガー、バヴェルク、ヴィーザー、シュンペーター等オーストリア学派の成立を担った経済学者の思想と学説を中欧帝国の社会経済史と精神史のコンテキストから解読する。長らくケインズ革命に光を奪われながら近年復活著しいオーストリアンのブリリアントな研究である。
目 次
まえがき
序 章 オーストリア学派の社会的性格
1 オーストリア学派の社会的基盤
2 「金利生活者」とは誰か
3 官僚機構と中産階級
4 メンガーとその周辺
5 悲観主義のかげり
第Ⅰ部 学派創始者たちの肖像
第1章 マックス・ヴェーバーにとってのメンガー
1 メンガーとヴェーバー
2 ヴェーバーと経済理論
3 ヴェーバーにおけるメンガー理論の受容
4 ヴェーバーにおける〈経済人〉
第2章 1871年以降のカール・メンガー
1 遺稿となった第2版『経済学原理』
2 改訂作業の開始期
3 主観主義への転回
4 「新構想」以降の思索
5 メンガーのペシミズム
第3章 財政家としてのベーム=バヴェルク
1 ベーム=バヴェルクの財政家としての評価
2 ケルバー内閣 1900-1904年
3 統一国債の借替え
4 砂糖輸出奨励金廃止問題
5 財政をとらえるベームの視点
第4章 ヴィーザーとオーストリア自由主義
1 ヴィーザーの‘2つの顔’
2 オーストリアの憲法問題とヴィーザー
3 ヴィーザーの社会経済学
第Ⅱ部 世紀初頭の新世代
第5章 ベーム・ゼミナールの新世代
1 「ヴィーン大学の歴史にのこる偉大な日」
2 ヒルファーディングとシュンペーター
3 ミーゼスのオーストリアン・ファンダメンタリズム
4 社会主義経済計算論争
第6章 シュンペーターにおける「資本主義過程」の探究
1 『経済発展論』における3つの「過程」
2 英語版「序文」での説明
3 利子理論と景気理論
4 企業者と資本家
5 シュンペーターの「ヴィジョン」の社会的基盤
第7章 オーストリアにおける貨幣経済論の胎動
1 はじめに
2 オーストリアの通貨事情をめぐって
3 マルクス主義者と「貨幣価値」問題
4 景気変動における〈信用〉の役割
5 結語にかえて
第Ⅲ部 補論と展望
第8章 ベーム=バヴェルク資本利子論の形成過程
1 “オーストリア” 資本理論とは?
2 ベーム=バヴェルクの出発点
3 ハイエク文庫で発見された資料
4 1876年手稿
5 1884~85年のメンガーとベームのやりとり
6 『積極理論』における亀裂
7 『積極理論』誕生の最終段階
第9章 ヴィーン大学の講義とオーストリア学派
1 はじめに
2 「法-国家学部」の講義体系
3 ヴィーン大学における経済学講義
4 第一次大戦前オーストリアの「法-国家学部」の統計的概観
第10章 オーストリア学派の〈復活〉と歴史的オーストリア学派
1 はじめに
2 オーストリア経済思想史の背景
3 始祖の世代のオーストリアン
4 戦間期オーストリアン
5 〈主観主義〉のエクソダス?
参照文献目録
地 図
主要人名・事項索引