2006年度以前の書評

京都新聞[02/3/3(日)]読書欄から(評者:稲賀繁美 氏)

日本書史

日本書史

石川九楊著『日本書史』が、京都新聞(2002/3/3付)の読書欄にて紹介されました。
 「千年をさかのぼる過去の人物の書であっても、揮毫の筆触は残る。その力動相の変容を追跡すれば、書する知識人の意識と下意識の歴史的展開は明らかにできる。これが『中國書史』に続く、著者の基本姿勢だ。かくて書は政治や文学よりも直截に精神史を解き明かすかぎとなる。
  書は文字を媒体として言葉に形を授け、文字や言葉の生成変容を促す。だが逆に言葉と文字なくしては、書は現象しえない。この相互依存は、思考と文字とを切断する構造主義言語学への根本的批判とも映る。だがフラマリオン書店の近著『エクリチュールの歴史』は、表意文字の支持体の議論の出発点とし、石川の方法論に同意する。……(中略)……
……『日本書史』の描く列島の文字体験は、自律的展開の欠如によって特徴づけられる。中国文化圏の周辺に位置し、石を刻む篆刻を知らぬまま、いきなり楷・行・草の毛筆書史に「途中乗車」した。そして近代は、知識人の書の喪失とともに「途中下車」の終局を迎える。その間十三世紀の転変を、本文七十七章は縦横に図示・細説する。……(中略)……
編集者、橘宗吾の跋文も秀抜。」(稲賀繁美 氏)

石川九楊 著
価格 15,000円
A4判・上製函入・632頁
ISBN978-4-8158-0405-3 C3071
在庫有り


毎日新聞[02/2/3(日)]読書欄から(評者:三浦雅士 氏)

日本書史

日本書史

石川九楊著『日本書史』が、毎日新聞(2002/2/3付)の読書欄にて紹介されました。
 「文字通りの大著。……(中略)……門外漢にはちょっと手が出せないようだが、さにあらず。小説のように面白く読みやすい。……(中略)……迫力ある図版の説明を拾い読みしてゆくだけでも、ああそうかと思わせられることしばしば。
  書とは何か。「いきなり結論を述べれば」と著者はのっけから言う、「文字中心言語・東アジアにおける書は、声中心言語・ヨーロッパにおける音楽に相当する」と。書は美術じゃない、音楽だというこの第一声は凄い。「日本全国、ギャラリーや美術館で連日書道展が開かれていることから、書は美術のようなものと考えられているが、書は『言葉を書く』ところに成立する表現であり、決して美術ではなく、むしろ文学のように読み、味わうものである」。……(中略)……
  著者が一貫して論じるのは「筆触」だが、「書は音楽」という思想を象徴している。敷衍すれば「書は舞踊」。書は何よりもまず身体の技であり、精神と身体の出会う場なのだ。書の歴史が、精神の歴史であるとともに身体の歴史であることが腑に落ちてくる。類いまれな日本文化史である所以だ。」(三浦雅士 氏)

石川九楊 著
価格 15,000円
A4判・上製函入・632頁
ISBN978-4-8158-0405-3 C3071
在庫有り


週刊読書人[02/1/18(日)]読書欄から(評者:吉本隆明 氏)

日本書史

日本書史

石川九楊著『日本書史』が、週刊読書人(2002/1/18付)の読書欄にて紹介されました。
 「この本は、日本の書の移り変わりについて、古代から近代に至る道行きを書としての表現の歴史に則して解明してみせた画期的な著書だと思う。わたしが画期的だと言う意味はほかでもない。この本がはじめて書家であり、その上書の理論家でなければなしえない表現技術からする書の歴史的な移り変わりを展開しているからだ。……(中略)……
  石川九楊が書の技術的な実相に迫るため創りだしている新しい概念は、筆触・筆尖の立て方と押圧角度(スタイル)で、右肩上りと左下りなど、実作者としての微細な見識に基いていて、ただの鑑賞者に過ぎないわたしにまるで実際の書の文字を前において、ここはこの書家がこんな心理状態にあったからこんな風に上げるべきところが下がっていたり、水平であるべき線が極端に右肩上りになるのだと言った説明を受けているような如実感をおぼえ、ただ驚嘆する外なかった。こういう書の技術的な表現心理の分析が成立しているのは、文芸批評の分野だけで、書論としても、芸術論としても始めて書史について成就された著書で、画期的なものだと思った。……」(吉本隆明 氏)

石川九楊 著
価格 15,000円
A4判・上製函入・632頁
ISBN978-4-8158-0405-3 C3071
在庫有り


讀賣新聞[01/11/25(日)]読書欄から(評者:松浦寿輝 氏)

日本書史

日本書史

石川九楊著『日本書史』が、讀賣新聞(2001/11/25付)の読書欄にて紹介されました。
 「……石川九楊は、書というものの持つこうした恐ろしさと美しさとを、門外漢の私たちに初めて手に取るようにわかりやすく教えてくれた、画期的な文章家である。実作者としての経験の蓄積と卓抜な批評眼に裏づけられた石川氏の、目の覚めるような「読み」を通じて、「筆毫の尖端が紙と接触し、摩擦し、離脱する劇」がまざまざと甦り、その現場に立ち会わせてくれるのだ。
  ……既刊の『中國書史』の後を受けたこの大部の労作は、中国の書の流れに「途中乗車」し「途中下車」したわが国の書史の特異な運命を、卑下もなく驕りもなく克明に辿り返してゆく。輸入した漢字とみずから発明した仮名の二重性によって成り立っている日本語の特異な書字システムが、中国から離脱し、独自の近代化を志向してゆく困苦に満ちた道程。それが本書の膨大な記述のうねりの中から、巨大な文化史のドラマとして立ち上がってくるさまは、まことに壮観と言うほかない。……」(松浦寿輝 氏)

石川九楊 著
価格 15,000円
A4判・上製函入・632頁
ISBN978-4-8158-0405-3 C3071
在庫有り


日本経済新聞[01/11/4(日)]「アート」から

日本書史

日本書史

『日本書史』の著者・石川九楊先生が、日本経済新聞(2001/11/04付)の「アート」にて紹介されました。

 「……書家であり評論家。創作者が、なぜ評論までするのか。「書は理解されていない。要するにインフラ(基盤)整備やね」。軽くいなしながら、書を理解するにはその歴史を知ることが不可欠と力を込めた。……(中略)……
  既存の観念に照らすと石川氏の書は奇怪に見える。太い線、細い線、引っかき傷のような線や点が紙面全体にちりばめられ、一見すると絵画だ。啓示を受けたのは明治の政治家、副島種臣の書だった。
  それは中国・清代に、西洋文化と中国文化がぶつかり合う中から生まれた書方を原原形とする。筆先が微動し、字画は紙の奥に向かって亀裂を生じたような表情を見せる。ひび割れた時代の姿である。
 時代そのものを表現する書。そのために創作と評論が密接な関係を持ち、常に批判にさらされる緊張状態に自らを置く。石川氏にとって書と評論はこの先も、「車の両輪」である。」

石川九楊 著
価格 15,000円
A4判・上製函入・632頁
ISBN978-4-8158-0405-3 C3071
在庫有り


産經新聞[01/10/14(日)]読書欄から(評者:高橋 亨 氏)

日本書史

日本書史

石川九楊著『日本書史』が、産經新聞(01/10/14付)の読書欄にて紹介されました。

  「石川九楊はもっとも根源的(ラディカル)な書家であり、『中国書史』に続くこの大著をものした理論家であり、批評家である。現代文明に対する思索の眼によって、書と文字の根源から革命を挑発し続けている。
  東アジアの漢字文明圏において、書はかつて文明の根源であった。日本書史とは「途中乗車し、途中下車した書史」であり、自律的展開を欠く中に「和様と唐様という異質な二重複線の書史が生じ」たという限界ははじめに示される。これは、中国の書の根源にある「天」の思想を欠くために、革命がないまま万世一系の流儀に堕してしまう日本文化への批判の表明である。
  しかしながら、「小さく、ささやか」で「いささか歪んだ」日本書史における美の達成もまた、情熱をこめて解読されている。具体的な作例に即して、その微妙な「筆触」(書きぶり)の特性を解読した「漢委奴国王」の金印から貫名海屋まで全七十七章の記述を豊富な図版とともに読むことは楽しい。「書く」とは「掻く」こと刻むことだという原理から、書の速度と深度と力、そして筆の角度文字の構成による差異が説明されている。
  空海・嵯峨天皇・橘逸勢の三筆たるゆえんが、「奇怪な雑書体」にあり、そこに内包された「中国への異和」が「和様」へと展開していくという読みをはじめ、既成の常識や権威にとらわれない批評は、挑発性にあふれスリルに満ちている。
  本書であらためて確認された「和様」の最高の達成が「女手」(平仮名)である。その「女手」の生成が『古今集』をはじめとする和歌の伝統を形成し、『源氏物語』を生んだのであった。そこでは「和様」化に潜在する「漢」との緊張関係が重要である。石川の論は平安朝文学史と重なりつつも多くの差異がある。石川のいう「漢語の裏側に和語を貼りつけた二重複線言語」としての日本語の可能性をふまえて文学史や文化史を再検討していくことが、私にとっての課題である。」(高橋 亨 氏)

石川九楊 著
価格 15,000円
A4判・上製函入・632頁
ISBN978-4-8158-0405-3 C3071
在庫有り

年度別書評一覧

近刊案内

2017年9月7日出来予定

東アジアの社会大変動

末廣 昭・大泉啓一郎 編
A5判・上製・352頁
価格  5,400円
ISBN 978-4-8158-0884-6
Cコード 3036

2017年9月7日出来予定

産業化する中国農業

宝剣久俊 著
A5判・上製・280頁
価格  5,800円
ISBN 978-4-8158-0886-0
Cコード 3033

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