『近代書史』:第36回「大佛次郎賞」受賞のことば

受賞のことば:「触覚なき文字はない」

  学生時代から、どう言えば書の本質をつかみ、多くの人に理解してもらえるかと考え続けてきました。
  文字を構成する一点一画とは、長さや幅、墨の濃さ、色といった造形ではなく「触覚」のかたまりである。作者の意識や思考が、言葉へと姿を変えていく現場としての触覚です。これがいま、書をもっともよく表す言葉だと考えています。
  意識が肉体を震わし、外に出ることで一つの言葉が生まれる。話し言葉なら声を通じて生まれ、書き言葉なら、触覚を通じて初めて文字が生まれ、文章、文学が生れます。
  パソコンによる作文は、触覚なしに成立しますが、非常におそろしい問題を含んでいます。肉体的、精神的な行程をすっぽり抜いて、一種の奇怪な機械操作によって文字があらわれ、つなぎ合わさって文章ができる。
  書くことなどどうでもいいと軽んじる風潮に、今の日本の文化的な危機が隠れているように思います。触覚のない書き言葉は、本来はないのだと思うのです。

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2017年10月25日出来予定

経済成長の日本史

高島正憲 著
A5判・上製・350頁
価格  5,400円
ISBN 978-4-8158-0890-7
Cコード 3033

2017年11月1日出来予定

イスラームのロシア

長縄宣博 著
A5判・上製・440頁
価格  6,800円
ISBN 978-4-8158-0888-4
Cコード 3022

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