内 容
ブラジルへの貢献と移民の成功をともに導いた徳=内面的資質と、それを体現する人々としての日系人は、いかにして生みだされたのか。移民知識人がはたした決定的役割から、日系コロニア構築の100年を超える歴史をとらえ、デカセギや世代交代とともに失われゆくその姿をも映し出す。
目 次
凡 例
はじめに
第1章 帰還、永住、再移住
—— 日本帝国主義とブラジル日本移民知識層
はじめに
1 サンパウロにおける初期日本移民
2 出稼ぎ根性と永住主義 —— 移民ジャーナリズムの台頭
3 アリアンサ移住地と知識階級の挿入
4 2つのナショナリズムと帰還のジレンマ
5 再移住論 —— 帝国移民の行為主体性
小 括
第2章 移民的徳の誕生
—— 戦後移住政策と政治的主体としてのブラジル日系人の形成
はじめに
1 勝ち負け闘争から桜組挺身隊へ ——「在外帝国臣民」の終焉
2 人口政策としての戦後移住政策
3 山本喜誉司と戦後移民政治の構築
4 ブラジル日本移民の主体構築をめぐる3つの形態
小 括
第3章 移民知識人の有機性
—— 土曜会の知識実践と戦後移民社会の構造変容
はじめに
1 土曜会の形成と雑誌『時代』
2 「移民の体認」—— コロニア実態調査
3 ブラジル日本移民史料館の建設
小 括
第4章 拡散と凝集のプロジェクト
—— 日系旅行社と邦字新聞社
はじめに
1 1950~70年代の移民社会の構造変化
2 デカセギ移住と日系旅行社
3 邦字新聞社という社会的プロジェクト
4 「移民社会」の重層性
小 括
第5章 徳、記憶、期待
—— 政治的祭典としての移民百周年祭
はじめに
1 エピタシス —— 政治的期待が高まるとき
2 記憶をめぐる齟齬
3 徳の祭典
4 届かぬ投げかけとしての行為主体性
小 括
第6章 ブラジル日本移民の政治、知識、徳
はじめに
1 移民政治の2つの極
2 移民知識人と従属知
3 徳の主体としての移民
おわりに
補遺 本書の民族誌調査について
注
あとがき
参考文献
図表一覧
索 引
書 評
『大原社会問題研究所雑誌』(第758号、2021年12月号、評者:根川幸男氏)
『移民研究年報』(第27号、2021年6月、評者:根川幸男氏)
『ラテンアメリカ・レポート』(第37巻第2号、2021年1月、評者:近田亮平氏)
『図書新聞』(2020年8月8日号、第3459号、評者:吉村竜氏)
『ラテンアメリカ時報』(2020年夏号、第1431号、評者:桜井敏浩氏)