書籍紹介

歴史・文化・文学

〈驚異〉の文化史

中東とヨーロッパを中心に
山中由里子 編

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価格 6,300円
判型 A5判・上製
ページ数 528頁
刊行年月日 2015年
在庫状況 在庫有り
ISBNコード 978-4-8158-0817-4
Cコード C3022

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内 容

アレクサンドロスも遭遇したという怪物から、謎の古代遺跡や女だけの島まで、たえず人々の心を魅了してきた〈驚異〉。旅行記や博物誌が語り、絵画や装飾品に表れるその姿は、人間の飽くなき好奇心について何を教えてくれるのか。〈驚異〉の「黄金時代」であった中世以来の精神史を細やかかつ大胆に描き出す。


執筆者一覧

《編 者》
 山中由里子

《執筆者》 (執筆順)
 池上俊一   金沢百枝
 二宮文子   杉田英明
 亀谷 学   家島彦一
 守川知子   鈴木英明
 大沼由布   見市雅俊
 黒川正剛   武田雅哉
 辻明日香   小宮正安
 林 則仁   小倉智史
 小林一枝   宮下 遼
 松田隆美   菅瀬晶子


目 次

 凡 例

序 章 驚異考 …………………… 山中由里子
    1 驚異とは?
    2 驚異と中世一神教世界
    3 先行研究
    4 比較研究の可能性と問題点
    5 ジャンルの問題
    6 驚異の定義
    7 歴史的展望

  第Ⅰ部 驚異とは何か

第1章 ヨーロッパ中世における驚異 …………………… 池上俊一
    はじめに
    1 中世知識人にとっての驚異
    2 分類・定義の試み
    3 キリスト教的驚異について
    4 驚異の歴史
    おわりに

第2章 イスラームにおける奇跡の理論 …………………… 二宮文子
    はじめに
    1 イスラームにおける奇跡の発生原理
    2 イスラームにおける奇跡の分類
    3 驚異譚・奇跡譚・歴史叙述 —— 中世南アジアの事例から
    おわりに

  第Ⅱ部 驚異の編纂と視覚化

第1章 中世イスラーム世界の旅行記と驚異譚 …………………… 亀谷 学
     —— 驚異を目にした人々
    はじめに
    1 イスラーム世界における旅と旅行記
    2 旅と驚異
    3 ガルナーティーの旅と驚異
    4 旅行記と驚異譚の書
    むすびにかえて

第2章 天上・地上の驚異を編纂する …………………… 守川知子
     —— ペルシア語百科全書成立の12世紀
    はじめに
    1 トゥースィーの『被造物の驚異と万物の珍奇』
    2 諸学を編纂する
    3 12世紀の思想潮流の中で
    おわりに

第3章 ヨーロッパ中世の東方旅行記と驚異 …………………… 大沼由布
    はじめに
    1 驚異の目撃譚としての旅行記
    2 旅行記という枠組みが与える他の条件
    3 信憑性を持たせるための記述上の工夫
    おわりに

第4章 ヨーロッパ中世の奇譚集 …………………… 黒川正剛
    はじめに
    1 古代から中世へ —— 奇譚集の誕生
    2 『皇帝の閑暇』における奇譚
    3 『アイルランド地誌』における奇譚
    4 三大百科全書と奇譚
    おわりに

第5章 コプト聖人伝に見られる驚異な奇跡譚 …………………… 辻 明日香
    はじめに
    1 もう一つのキリスト教世界における奇跡譚の編纂
    2 「驚異」としての奇跡譚
    おわりに

第6章 中東イスラーム世界の写本絵画と驚異 …………………… 林 則仁
    はじめに
    1 中東イスラーム世界における写本絵画の伝統と『被造物の驚異』
    2 カズウィーニーの『被造物の驚異』
    3 驚異の視覚的描写から見る世界観
    4 視覚化によって高められる信憑性
    5 『被造物の驚異』写本絵画と他の書物
    おわりに

第7章 イスラーム美術に表された驚異の動物 …………………… 小林一枝
    はじめに
    1 初期の動物表現、実在する動物と空想動物
    2 聖獣もしくは瑞獣としての空想動物
    おわりに

第8章 ヨーロッパ中世写本の挿絵に見る驚異 …………………… 松田隆美
    1 驚異の視覚化と挿絵
    2 死後世界への旅と驚異
    3 典礼書の余白に描かれた驚異
    4 装飾モチーフ化される驚異

第9章 ロマネスク床モザイクに見る驚異 …………………… 金沢百枝
     —— オトラント大聖堂の分類不能な怪物たち
    はじめに
    1 謎を読み解く試みの数々
    2 オトラント大聖堂の床モザイク
    3 偉人の驚異譚
    4 分類不能な怪物たち
    おわりに

  第Ⅲ部 驚異のトポス

第1章 ヨーロッパ中世の驚異譚における空間トポス時間クロノス ………… 池上俊一
    はじめに
    1 驚異の空間
    2 驚異の時間
    3 古代形象の例 —— 魔術師ウェルギリウス
    おわりに

第2章 東方の驚異 …………………… 大沼由布
     —— ヨーロッパにおける巨大蟻の記述の変遷
    はじめに —— 東方の驚異と古代からの知識の継承
    1 ギリシア・ローマ時代の巨大蟻の記述
    2 ヨーロッパ中世における巨大蟻の記述
    おわりに

第3章 動く島の秘密 …………………… 杉田英明
     —— 巨魚伝説の東西伝播
    1 中東世界
    2 西方伝承
    3 東方伝承
    4 日本への伝来

第4章 想像の地理と周縁の民族 …………………… 山中由里子
     —— 女人族伝承の東西伝播
    1 驚異の民族
    2 アマゾン伝承の起源
    3 中世イスラーム世界に伝わったアマゾン伝承
    4 女人族とアレクサンドロスの出会い
    5 船乗り譚や旅行記における女人族伝承

第5章 驚異としての北方 …………………… 家島彦一
     —— イブン・ファドラーンの記録を中心に
    はじめに
    1 イブン・ファドラーンの旅
    2 驚異の源泉としての北方ユーラシア世界
    むすびにかえて —— 驚異譚の定型化と知識の伝承

第6章 驚異としてのアフリカ大陸 …………………… 鈴木英明
     —— 中世アラビア語地理文献に見えるザンジュ地方
    はじめに
    1 行政官たちの地理書・バルヒー学派
    2 渡航者たちによる著作
    3 島嶼部の登場と混同
    4 陸と海との傾向の分化、驚異の行方
    おわりに

第7章 ピラミッドという驚異 …………………… 亀谷 学
    はじめに
    1 ピラミッドの驚異性
    2 ピラミッドへのアプローチ
    3 中世イスラーム世界のピラミッド学の集大成
    むすびにかえて

第8章 ペルセポリスとイスラーム世界の「七不思議」…………………… 守川知子
    はじめに
    1 イスラーム世界の「七不思議」にみる「驚異の建造物」
    2 「スライマーンのモスク」としてのペルセポリス
    3 「ジャムシードの玉座」
    おわりに

第9章 ストーン・ヘンジと驚異の国土 …………………… 見市雅俊
    1 中世編 —— 先住権のあかし
    2 近世編 —— ローマ化のあかし
    おわりに

第10章 月から見える万里の長城 …………………… 武田雅哉
    1 長城という驚異
    2 「月から見える長城」の誕生
    3 だれかが見た長城
    4 火星人も長城を見ている?
    5 「月の男」の変貌

  第Ⅳ部 驚異の転生

第1章 ヨーロッパ近世の驚異 …………………… 黒川正剛
     —— 怪物と魔女
    はじめに
    1 ヨーロッパ近世における驚異・怪物の増殖
    2 驚異と自然
    3 魔女言説における驚異・奇跡・魔術と自然
    おわりに

第2章 驚異の部屋「ヴンダーカンマー」の時代 …………………… 小宮正安
    はじめに
    1 ストゥディオーロからヴンダーカンマーへ
    2 「術」の満てる空間
    3 「驚異」のディスプレイ方法
    4 「異形」をめぐるコレクション
    5 30年戦争前後のヴンダーカンマー
    6 ヴンダーカンマーの変容と終焉
    おわりに

第3章 自然誌と博物館 …………………… 見市雅俊
     —— 近世イギリスの驚異の行方
    はじめに —— 驚異の時代
    1 「驚異」と「好奇心」
    2 トラデスカント・コレクションとアシュモリアン博物館
    3 プロット自然誌
    4 化石 —— 自然の造形力
    5 驚異の文化の終焉

第4章 「驚異の地インド」の内在化 …………………… 小倉智史
    はじめに
    1 ムスリム宮廷におけるサンスクリット文献の翻訳活動
    2 『アクバル会典』におけるインドの思想と習俗
    3 地続きになる遠い過去 ——『カシミール史』のイスラーム前史
    おわりに

第5章 イスタンブルの民衆と奇物 …………………… 宮下 遼
     —— 驚異から日常の中の異常へ
    1 オスマン朝における驚異の記録
    2 帝都イスタンブルの奇物
    3 「異教の気配」としての帝都の歴史的重層性
    4 驚異の日常化

第6章 歴史的パレスチナにおける奇跡譚の今 …………………… 菅瀬晶子
     —— 聖者ハディル崇敬の事例
    はじめに
    1 聖者ハディルとは
    2 現代の歴史的パレスチナにおけるハディル像
    3 ハディル崇敬の特徴と奇跡譚
    4 ハディル崇敬の場所とその霊験
    5 ハディルの奇跡譚
    6 奇跡と霊験のあいだ

 あとがき
 比較年表
 参考文献
 図版一覧
 索 引


書 評


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